書譜
唐 孫過庭(648〜703)
書譜は王羲之書法でもって復古を主張した書の技法論です。作者は孫過庭(648年?~708年?)で現在台北故宮博物院に所蔵されています。孫過庭についてはっきりとした資料が無く生卒年、学書の経歴(誰に師事し何を勉強し影響を受けたかなど)も定かではありません。しかし書譜は王羲之十七帖と並んで草書の古典として現在でも高い評価を得ています。
書譜全体を一字ずつゆっくり眺めてみますと、とても力強く、シャープな線でキリッと書いてあります。そして厚みのある太い線と軽やかな細い線、どっしりと動きを抑えた重厚な字としなやかな動きの淡泊な字がさりげなく自然に交錯し、変化に富んで、この書の表情を豊かにしています。この相反する線と字の交錯が書譜臨書の面白さの一つです。